ベトナムで同じ皿を20枚買うという難題
夫の会社で使う皿を買いに市場へ行った。 スタッフが増え、お昼ごはんをみんなで食べる機会も多くなったので。 毎回紙皿を使い捨てにするのはもったいない。 そこで洗って何度も使える安いプラスチック皿を探すことにした。 ある日、市場で見つけたプラ皿の色が気に入った。 ロータスブルーとマンゴーイエロー。

「この色いいねぇ〜」 ならば同じものを揃えようと夫からのリクエスト。 「大きめのお皿、ロータスブルーを20枚」 「小さめのお皿、マンゴーイエローを20枚」 たった、それだけである。 日本ならホームセンターへ行けば5分で終わる話。 ところがそうはいかなかないのが、ベトナム。 前回買った場所と同じ、市場のキッチン用品売り場へ行き、 「これと、これを20枚ずつ欲しいの」 見本を持っていき、見せながら言うと、 「OK! わかった、出してくるね!」 と店主のおじさん。 これで終わりかと思ったら、その先が長かった。 おじさんが首をかしげた。在庫が足りないらしい。 棚の奥を探す。 箱を開ける。 別の束を持ってくる。 さらに隣の店へ声をかける。 気がつけば、私よりもおじさんのほうが真剣になっていた。 「ちょっと待って」 そう言いながら次々と皿が出てくる。 ネズミの糞まで一緒に発掘される始末。。。

でも面白かったのが、 同じ色のはずなのに微妙に違うところ。 ロータスブルーと思ったら少し緑が強かったり、 青が強かったりする。 マンゴーイエローだと思ったらレモン色だったり、 ひまわり色だったりする。 模様も違う。 形も少し違う。 重ねると高さも違う。 本当に同じシリーズなのか疑わしい。 それでもおじさんは、「ほら、同じだろう」 という自慢顔で並べていく。 こちらも見ているうちに 感覚がおかしくなってくる。 遠くから見れば同じにも見える。 でも手元で見ると、やっぱり違う。 そんなやり取りを繰り返した。 以前から聞いていた。 ベトナムでは色合わせが難しい、と。 半信半疑だったが、この日よく分かった。 本当だった。 気に入ったものを見つけたら、その場で買う。 ベトナム暮らしの先輩たちが口を揃えて言う理由が、 この日よく分かった。 同じものは、次に来たときにはもうない・・・ことが多い。 結局、市場内を何軒も回り、 集まった皿は58枚。 もう組み合わせが分からなくなったので、 形と色が近いものをまとめて買った。 値段は165,000ドン。 日本円にすると1000円ほど。1枚17円くらい。 ぼったくらない市場値段はありがたい。

自宅へ持ち帰り、洗って並べてみた。 よく見ると微妙に色が違う。 形は3種類くらいで微妙に違う。

縁の模様があったりなかったり、高さが違ったり。 けれど全体的には不思議と悪くない。 ちょっと自由さを感じる。 少しずつ違う皿が並ぶ風景には、 市場の空気が残っている。 「同じものを20枚ずつください」 そんな簡単な注文から始まった買い物なのに 完全には揃わなかった。 ちょっとずつ不揃い。

でも妙にベトナムらしくて気に入っている。 移住生活ランキング
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