ベトナム人スタッフに唐揚げを作ったら、3キロが消えました!
前の晩から冷蔵庫の中に鎮座した鶏肉の存在感は異様でした。 三キロ。 数字にするとそれだけのことだが、 台所のまな板の上に載せると、なかなかの迫力である。 夫の会社のスタッフたちと昼ごはんを食べることになり、 メニューが決まった。 唐揚げとおにぎり。日本ではごく普通の組み合わせ。 海外で暮らしていると、唐揚げもおにぎりもあるのだけれど、 慣れ親しんだものとは違うので、 やっぱり自分で作りたくなる献立でもある。 包丁を入れながら、 そういえば昔の運動会もこんな匂いだったな、と思い出した。 まだ朝早いうちから母が台所に立ち、おにぎりを握り、唐揚げを揚げていた。 卵焼きやウインナーも入っていたな。 どこの家庭にもありそうなお弁当なのに、 運動会の日だけは特別だった。 校庭で食べるおにぎり、冷えてるけど下味がしっかりついた鳥の唐揚げは、 なぜあんなにおいしかったのだろう。 あの頃は食べるだけだったが、今こうして大量の鶏肉を前にしていると、 母の気持ちが少しわかる気がする。 美味しく作りたい欲! 昔から我が家は手作りすることが好きな家だったので、 母親が台所に立つ風景は慣れっこで、安心感があった。 今、何を作ってるのかな? ということで私も台所で包丁を動かす。 鶏肉はひたすら一口大に切り分けた。 ひとつ、ふたつ、みっつ。 途中から数えるのをやめたが、 おそらく二百個近くになったと思う。 終わる頃には、包丁が油でビトビトになりキレが悪くなった。 肩や腕をギコギコ揺らして なんとか切ったっけ。 それでも、人に食べてもらうための支度というのは 不思議と嫌ではない。 というのは、 日本の家庭料理をスタッフに食べさせるのが目的なので、 今回の強い味方は、日清製粉ウェルナの唐揚げ粉。

海外生活が長くなるほど、こうした商品がありがたくなる。 全部を一から作ることにこだわらなくなったのは、 年齢のせいかもしれないね。

頑張るところと、頼るところ。 その加減が少しずつわかってきた。

翌朝は、ご飯炊きから始まった。 ひとつは白いご飯。 もうひとつは炊き込みご飯。

ドラえもんパッケージはベトナムでも人気。 こちらも日清製粉ウェルナで、 炊き込みご飯の素を使った。 醤油と出汁の香りがふわりと立ち上って ん〜〜〜お茶碗でかき込みたい!

我慢して、おにぎりにしました。 本当ならお櫃があれば格好いいけどね。 けれど、ここはベトナムである。 代わりに使ったのは市場でよく見かける発泡スチロール箱。 中に日本手ぬぐいを濡らして敷き、ご飯を移す。

これが思いのほか優秀だった。ほどよく湯気を抱え込み、 ご飯がしっとりと落ち着く。 その上から、さらに日本の手ぬぐいをふわりとかける。 発泡スチロールに手ぬぐい。 なんとも不思議な組み合わせだが、これで十分。 海外生活は、こういう工夫の積み重ねでできている。 日本のものだけに頼ってたら息苦しい。 かといって現地のものだけでも少し物足りない。 だから、その時々で使いやすいものを選ぶ。 昼になるとスタッフたちが集まり、おにぎり作り。 ラップの上にご飯をのせ、ぎゅっぎゅっと握る。 三角にならず、丸くなる。今度は四角くなる。 みんなで笑う、そんな時間。 そして私は、唐揚げを揚げ続けるのであった。

普段はフォーやブンチャー、コムタムを食べているスタッフたちも、 日本の家庭料理には興味津々である。 揚げたての唐揚げを口に運び、「おいしい」とどんどん食べていく。 ベトナム版の辛いケチャップをつけるけどね。 その様子を眺めていると、運動会のお昼休みを思い出した。 国も言葉も違うのに、人が集まって同じものを食べ、 笑い合う景色は案外変わらない。 山のようにあった唐揚げは、みるみる減っていった。 三キロの鶏肉は、あっという間にみんなの胃袋へ消えていった。 海外で日本の家庭料理を作る。 そんな大げさな話ではない。 頼れる日本の食品があり、 現地の便利な道具があり、少しの工夫がある。 全部を自分で背負わなくてもいい。 無理をせず、その土地にあるものを上手に使うのが 海外で気楽に暮らすコツかもね。 移住生活ランキング
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