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撮るよりも先に、飲み込まれた夜 — バリ島NXT体験記①

レストランに入ったら、とりあえず写真を撮る。 料理が来たらすぐには食べず、照明の角度を探して、スマートフォンを構える。 そんな習慣が、いつの間にか身体に染みついてしまった。 けれど、その夜は違っていた。気づけば、あまり写真を残さなかった。 暗かったから? いや、そうじゃなくて・・・ 空間の巨大さと照明の配置に圧倒され、料理の一皿一皿の説明と味わいに浸ってしまったから。 撮るよりも先に、レストラン体験そのものに、すっかり飲み込まれていたんだな。 お店の名前はNXT。 バリ島にある、ちょっと特別なレストラン。 値段は、正直に言えば、安くない。 でも、ここでしかできない体験がありそうな気がして、夫と即決した。 ちょっと背伸び。でも、楽しみにしていた夜。 場所は、ローカルな通りから少し中へ入ったところにあるのに、 どんどん空気が変わっていく仕立て。

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さっきまでの賑やかなバリ島から一転、静寂。 異世界に繋がっていくような小道で、日本でいうと……鎌倉? 京都? 竹林の奥に進むような、あの感じに少し似ていた。 苔が生えた黒い石塀は高く聳えるけど、視線を上に向けると樹々が揺れて空が広がる。

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程なくして、落ち着いた深い緑色の小屋が見えてきた。 バリの道ではあまり見かけなかった猫たちが、ゆったりとくつろいでいた。

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さらに奥へ進むと、美術館のような巨大なコンクリート建築が現れた。 現代アートのような空間。

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中に入ると、レストランというよりホテルのラウンジのような広さがあって、 ガラスの向こうには田圃が奥まで続いてた。

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夕刻の光がゆっくり夜に混ざっていく。 ここは確かにバリ島。

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そして私たちは、最初の前菜で、もうやられた。 パズルのように置かれた八種類のおつまみ。 タイルのピースみたいに並んでいる器というか台。 どんな味だろう? と想像しながら、口に運ぶ。 そして渡された豆本で答え合わせをする。

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夫が一番驚いていたのは、白黴チーズのように見えた一品。 チーズなんだけど、これ、カシューナッツで作ったチーズ。 え、これが? と顔を見合わせる。 一口食べて考えて、ページをめくる。

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クイズみたいで疲れるでしょう? と思うかもしれない。でも、楽しい。 予想が裏切られる、その瞬間がたまらない。 そして前菜を終えたら、移動。 このレストランは、テーブルに留まらない。 食べ終えると、次の場所へ案内される。 大きな回転扉の先に大きなオブジェが並び、アート鑑賞のしつらえ。

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ああ次はどこだろうと思っていたら、まさかの地下。 え、ここに階段あるの? 手すりもないの? ちょっと怖い。でもワクワクが上回る。 地下は、菌類の工場のようだった。

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植栽されたキノコ。 サイネージには食材図鑑。 どこから来て、どう作られ、どう処理されるのかが可視化されている。 図書館好きの私には、たまらない空間だった。ずっとここに居られる。 地下では、立ったまま二皿いただく。 ひとつはキノコの餡かけ。

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濃厚な味付けで……麹も入っている、と言う説明だったと思う。 興奮していて、記憶は少し曖昧。英語も完璧に理解できてない。。。 でも、はっきり覚えているのは、二皿目。 照り焼き風の串。

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小枝に刺してあるのは肉だと思った……炭火焼きの香ばしさをまとい、 甘ダレついた食感はお肉である…でも正体はオカラだった。 ちょっと待って。 オカラって、あのオカラだよね?  地下室で、叫びたくなる。 オカラって、こんなふうになるの〜〜? このレストランは「高い技術で究極の味を追求する場所」というより、 食に対する思想そのものを体験させる装置かも。 興奮のまま続いて上階へ。 2品美しいアジアの果物などを使ったスープと、 お刺身のように仕立てたココナッツを海苔とココナッツの花ソースをかけた料理をいただく。 もう、うっとりです。

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ここでじっくり本格的なコースが始まるかと思いきや、外に導かれガーデンへ。 最後はまた、メインダイニングへ戻ってくる。 三時間で四つの空間。 でも、その話はまた次に。 ハーブガーデンに案内され、料理が始まる前に体験したあの時間を、 あらためて綴ります。 ▶ 庭は料理の前奏曲 — バリ島NXT体験記② 庭は料理の前奏曲 — バリ島NXT体験記② *今回訪れたのは、バリ島・ウブドにある「NXT」。  ちなみに公式は https://locavorenxt.com 移住生活ランキング

#海外旅行#ベトナムの日常徒然

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