世界が、ベトナムの香りに気づき始めている
香水。 日本ではかなり控えめにしていた。 ただ、疲れている時や気分を変えたい時に、 シュッとひと吹き。 洋服の内側、肌に近い場所につける。 歩いているうちに体温で香りがほどけ、 首元にふわっと戻ってくる。 ああ、生きてるな、と思う。 自分だけの、小さなご褒美。 ただ日本では、満員電車や和食屋さんで、 香りが強すぎると“香害”とも言われてしまうので、 気をつけなくちゃ、という意識がいつもあった。 ところが、ホーチミンで暮らすようになって、 すっかり感覚が変わった。 なによりも暑い。 薄着になるし、汗もかく。 だからかな。 香りをまとうことに、抵抗感が薄れていった。 むしろ、通りすがりの男性から、甘い香りがすると、 なんだか嬉しくなる。 常夏の街では、少し歩くだけで汗をかく。 湿気もある。 バイクの排気ガス、 屋台の肉、 スコール前の空気。 ホーチミンは、 街そのものが混ざった匂いをしている。 だからこそ、こちらでは香水文化が、 日本より少し身近に感じられるのかもしれない。 男性でも女性でも、 “ほのかに香りをまとう” というのが、身だしなみの一つに思える。 ただ大事なのは、“ほのかに”。 ぷんぷん香るのは、こちらでもマナー違反。 先日、バインミー屋台に並んでいた若い男性とすれ違った時、 ふわっと花の香りがした。 ジャスミン系かな。 昼時のまったりと通る風に、うまく乗っていた。 先日、ホーチミンで尖ったおしゃれを展開するスポットで、 ベトナム発のフレグランスコーナーを見つけた。

試香紙にひと吹き。 紙をひらひらさせながら、 近づけたり遠ざけたりして香りを試す。

ひとつは、柑橘とネロリの軽やかな香り。 洗いざらしのリネンシャツが似合いそう。 もうひとつは、 お茶、花の香る線香、 スコール後の土、ラム酒。 どう説明するのが正しいのか、よくわからない。 複雑な香りと湿気を含んだ、 少し暗い夜の匂い。 エキゾチックで、面白かった。 ベトナムは、花も果物も豊かな国。 市場には、名前も知らない果物が山積みになり、 花屋が並ぶ。 道端では、蓮や百合、蘭を売る人もいる。 雨季に入り、スコールになりそうな直前には 土や川や木々の葉っぱ、 花の蕾からも立ち上ぼる香りがある。 それらが、街の熱気と混ざり合う。 最近は、そんなベトナムの空気を閉じ込めた香水ブランドが、 次々と生まれているそうだ。 今年1月、Yahooにこんな記事が出ていた。 近年、世界の香水市場では、 「アジア発」のブランドが存在感を強めているという。 その中で紹介されていたのが、 ベトナム発フレグランスブランド「VENUE(ベニュー)」。 2025年に立ち上がったばかりだけど、 すでに世界の香水ファンから注目を集め、 パリやニューヨークのニッチ系ショップとも提携を進めている。 ただ“流行る香り”を作るのではなく ベトナムの歴史や空気、 都市文化そのものを、 香りで表現しようとしている。 たとえば、 「CHOLON SOCIAL」。 ホーチミンの華人街・チョロン地区から着想を得た香りで、 赤茶、 チェリーラム、 線香、 ブロンドタバコを組み合わせている。 古い商店街の、少し湿った夜。薄暗いバー。 なるほど、あの独特な香りは、そういう景色だったのか。 一方、 「CERCLE SPORTIF」は、 マンダリンやネロリを使った、軽やかな香り。 暑いホーチミンのお昼どきや、 白シャツの清潔感を思わせる。 こうした、“土地の記憶”を香りに変える感覚が、 いま世界で注目されているらしい。

かつて、 「安く大量生産する国」として見られがちだったベトナム。 でも今は、 食、 建築、 ファッション、 そして香りまで、 感性や文化を輸出する国へ変わろうとしている。 この国から新しい香りの文化が生まれるのは、 自然なことなのかもしれない。 せっかくベトナムにいるのだから、 我が家も少し、 新しい香りを取り入れよう。 まずは、もったりと、 すっかり重たい身体になってる中年夫婦に、 軽やかな気分をまとわせてくれる 柑橘あたりからかな。 *参考記事 アルファ世代にまで広がった香水熱 2026年は「美味しい香り」と「アジア発」がトレンド より https://news.yahoo.co.jp/articles/4da4f329753669e4581d9035078a7b6b10bbba58?page=1 移住生活ランキング
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